カラマーゾフの兄弟 第5編 前半 ~大審問官手前まで
第5編はスネギリョフと分かれ、ホフラコワ夫人の家に戻ってきたところから始まる。
前回のイワンとの別れでヒステリーを起こしているカテリーナの対処に忙しいホフラコワ夫人をよそにちぎりを交わすアリョーシャとリーゼ。
その後、ドミートリィを探しに出かけるアリョーシャ。
ドミートリィがいた東屋に寄ったアリョーシャが見かけたスメルジャコブの意外な姿。
その後、さる飲み屋でイワンと出会ったアリョーシャはイワンの長口上の聞き役になって、兄の考えを聞くことに。
スネギリョフの行動を見て、私は、高潔さから彼は渡された金を踏みにじるようなことをしたと思っていたが、
アリョーシャの見解を聞いてそれがちょっと違ったということを知った。
アリョーシャの推測によると、
スネギリョフは、恵まれた大金に大喜びしてはしゃいだ自分の姿が恥ずかしくなり、
さらに、あなたが望めば、カテリーナも自分もさらに恵みを追加する用意があるとアリョーシャが言ってしまったことが契機となって、
その恥ずかしさを自覚するに至り
彼はあんな行動をとってしまったのだという。
なるほどプライドの高いというよりは臆病で自信がない彼のキャラ的に、
その方が腑に落ちる気がする。
さらにアリョーシャは、スネギリョフがその後思い直して、翌日お金を求めに戻ってくるに違いないというところまで推察している。
全く恐れ入る。
そうして次はスメルジャコブの、自身の出生を恨む心情の吐露へ続き
イワンの長口上が始まる。
イワンの話は長ったらしく、抽象的、矛盾的であり、よくわからないが
要約すると
もし子供がひどい目に遭って、その子供の親がキリスト教的に
自分の子供をひどい目に遭わせた奴を赦しましょうなんて言ったら
子供はひどいことをされ損じゃないか!そんな犠牲の上にキリスト教的な「赦しましょう」の調和と共生の世界が成り立っているなら、そんな世界は認めない。
ということだろう。
まぁ、だからと言って復讐したりしようものなら
その後は血を血で洗う、醜い争いが長い間続く事態になりかねん。
だから一番いいのは、やられた方も復讐したうえで
じゃあ、これでおあいこね、と言って赦しましょうの和解と調和の流れに持っていくのが平等でベストなんじゃないか、などと考えてみる。